文々。text


第一季 如月の二十七

能力欠落の怪

 文字は使わば忘れる。
 誰しも一度は経験あるだろうが、筆を持たずに数日過ごし、再び筆を手にした時に感じる違和感。これは感覚の鈍りによって起こると考えられる。文字に関しても同様で、”ちゃっと”や”ねっとげーむ”ばかりしていると、極端に文章能力が落ちるという話を聞く。
 人間の感覚は指数関数となっており、感覚の鈍り方は最初の方は急激に鈍るが、時間が経てば経つほどにその鈍りは遅くなる。
 これは動力源のある車を運転する上で、一年や二年運転してなくても最低限のことは覚えていたりするという事実を見ればわかるだろう。すなわち、文章や絵画の筆力は数日の怠惰によって一時的に能力が劣化したように感じるが、それでも比較的早く元に戻すことが可能である。
 それとはまた別に能力が落ちるのは”慣れ”のせいである。
 ”ちゃっと”や”ねっとげーむ”というのは、短文でかつ話し言葉を多分に用いる。これは想像以上に危険なことであり、慣習となってしまうとそれが”癖”となって体が覚えてしまうのである。この癖は良いものであれば構わないが、大概は悪癖である。個性を奪ったり、蛇足的なモノが多い。人間はこれによって能力を欠落させてしまうのである。
 かくいう私も恥ずかしながら悪癖にかかった時期があり、随分と更正に時間がかかったのである(今でも後遺症に悩まされている)。

 これらの癖は独自の文化を追求していく者にも現れやすい。
 それを個性として生かすも悪癖として殺すもその者次第なのである。
                                                (暁之炎)